これで、湿った日でも乾いた日にも損傷を受けずに対応できる木材かどうかの安全性がわかるのです。乾燥していれば、当然空気を吸収したりはいたりするので、住みやすさにもつながります。

乾燥すればするほど、木材は強くなります。実際に乾燥した木材を切ったり削ったりしても、その面はきれいです。木材を切ってきて、何年ぐらいすると一番強くなるかというと、コンクリートはできたときが一番強くて、時間の経過と共に年々弱くなっていきますが、木材は切ってきて製材して乾燥させますが、使い始めてから300年後が一番強くなるといわれています

木材とは乾燥すると強くなるといいましたが、木材の乾燥というのは難しいものです。乾燥すると木材は必ず縮みます。縮むと変形します。変形を抑えようとすると割れます。

直径が16㎝、長さが1mほどの丸太を電子レンジでチンするように、プレスの中に入れて上下左右から圧縮すると、簡単に四角になりますが、たったそれだけで、その丸太から出てきた水の量は6ℓにも及びます。それでもまだ、十分に絞りきってはいません。それぐらい、スギとは多くの水を含んでいます。もちろんスギに限らず、木材全般に関して言えることです。この水のほとんどを取り去らなければ、先ほど述べたようなJASの規定の含水率の木材にはなりません。

しかし、水を取り去り、この丸太から板を製材しようとすると、乾燥したら板というのは必ず外に反ります。普通、板として使うときは、反らないように削りますが、必ず反るので、一度乾燥した後、もう一度仕上げの加工をします。例えば正方形の4メートルほどの非常に高い柱を製材したとき、乾燥すると、もともと正方形であった柱が、ひし形になってしまいます。

木材は場所によって違う縮み方をする性質を持っています。片方の縮み方を1とすると、もう片方の縮み方は2~4であったりします。これが、狂ったり、変な形で乾燥したりする理由です。これを収縮の異方性といいます。

方向によって、板目と柾目と長さの方向によって、収縮が違います。例えば丸太の長さの方向はほとんど収縮しないのでこれを1とすると、年輪が平行に現れた面である柾目はこの方向の10倍から20倍、このような欠点がやがて狂いになって表れます。

乾燥が難しい原因の一つは大量の水を含んでいること、二つ目は乾燥したときの縮み方が方向によって違うということです。

ここに10㎝の正方形の柱があったとして、含水率15%まで乾燥が終わると、片方は9.7㎝、もう片方は9.4㎝になって、正方形であったはずが長方形になってしまいます。

正方形の四面がマサメの四方マサメという柱が乾燥すると、ひし形になってしまいます。それは縮み方が違うからです。そして幅反り、縦反り、ねじれ、割れにつながっていきます。