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2012年06月20日
木の良さ生かして…都内初! 木造5階建てマンション着工へ

「下馬の集合住宅」の模型(KUS一級建築士事務所提供)

東京都世田谷区下馬で近く、木造5階建てマンションが着工される。木造5階建て物件は都内初とみられる。完成は平成25年4月末の予定。12年の建築基準法改正で、強度や耐火基準さえ満たせば木造でも4階建て以上が可能になったが、施主が二の足を踏むケースが多く普及していない。関係者は「これまで木造の中高層ビルがなく、良い悪いの議論もできなかった。木造ビル普及の弾みにしたい」と意気込む。

マンションは「下馬の集合住宅」(仮称)。施主は個人。設計は「KUS一級建築士事務所」(新宿区)が担当した。建築面積92・84平方メートル、延べ床面積372・60平方メートルで、1階が貸店舗、2階から5階が賃貸住宅で一世帯ずつ入る。

木造建物は高くても3階建てまでという制度が大正時代以降長らく続いていた。法改正後も、耐火性能や耐久性能が疑問視され、なかなか普及していない。都内では千代田区内に23年、木造4階建て住宅が建ったくらいという。

そこに登場する木造5階建てマンション。木材に石膏(せっこう)ボードを被覆するなどで、耐火性は十分向上しており、問題はない。

このマンションの構造監修を務める東京大学生産技術研究所の腰原幹雄教授は「地球に優しいというのはおまけでいい。RC(鉄筋コンクリート)造、鉄骨造と同様の選択肢として、木造っていいよねと選ばれるようにしたい」。

このマンションの建築コストはRCと比べて2、3割増になるが、国土交通省の「木のまち整備促進事業」の助成金で一部をカバー。また、木肌をあえて見せるなどの建材を生かしたデザインを採用することで見栄えをよくし、トータルではさほど高価なものにはなっていないようだ。

「普及すればより安くなる。そもそも木造建築(低層)は国内で最も安い」と、腰原教授は将来の競争力については楽観的だ。

腰原教授の狙いは、すべての建築物を木造に変えようというのではない。「適材適所。用途によって材料の適性があると思う。コンクリートと鉄しかない都市に木造ビルが増えてくれば、もっと街が面白くなるのでは」と続けた。

SankeiBiz 2012年6月20日号掲載記事転載